概要
要素技術の発達に伴い、海洋音響分野でも広帯域音が広く使われるようになってきた。広帯域技術により、高い空間分解能や対象判別能力を実現できる。反面、雑音に対し脆弱で他の音響機器との干渉が発生する。現在、急速に進行している探査技術の広帯域化の対応するため、広帯域と狭帯域それぞれの利害得失を整理し、適切な技術開発と運用をすすめることが肝要である。
この時機をとらえ、海洋音響学会では「広帯域海洋音響探査技術部会」を立ち上げた。平成25年5月より6回にわたって部会を開催し、幅広い専門家による講演がなされた。現在の広帯域技術における機器や信号処理、さらにその応用が紹介され、今後の広帯域技術を展望するよい機会となった。
目次
1.広帯域送受波システム
- 超広帯域送受波器の開発
- ランジュバン型送受波器の広帯域化
- 広帯域アナログパワーアンプとディジタルパワーアンプの基礎と応用
- 日本での普及型広帯域水中音響機器と開発と応用
2.広帯域信号と処理
- GPSに用いられる広帯域信号
- M系列相関値の高速演算
- 広帯域音波を用いたトラッキング技術
3.広帯域技術の応用
- 広帯域技術による水中音響機器の商品革新
- 動物プランクトンの広帯域散乱特性
- 医療用超音波画像診断技術の海洋音響への応用の可能性
- コウモリの広帯域音波の利用とその摂餌戦略